『中江兆民集』【近代日本思想大系3】編集・解説/松永昌三

2008年11月12日 00:04:06

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ほとんど考えている。一日のほとんど。
夜中にふと目を覚ます。それは、トイレに立つ欲求であったり、
枕が合わなかったり、夢見であったり、

そして、寝ぼけた頭で考える。
今さらながら、考えている。

12月に上演する『スーザンナ・マルガレータ・ブラント』
その舞台に登場する登場人物。
彼らの人生を考え続けている。

脚本を書くときに考えつくしたはずだ。
考えつくしたから書けたはずなのに。
今さら、一日のほとんどを考えている。

登場してくる彼ら一人ひとりの人生。
生まれて、今生きていることの、彼ら。
どんな町で生まれたのだろう。
どんな両親だったのだろう。
好き嫌いはあるのだろうか。
学校の勉強で得意なものはなんだろう。
初恋はいつだったか。
給料はいくらだろう。
犬が好きだろうか。
どんな服を着ることが多いのだろう。

脚本には書かれていないそれらのこと。

8歳のときに書いた「お母さん」という作文はどこにしまったのだろう。
初めて手をつないだ夕方を彼は覚えているだろうか。
持病はあるだろうか。

台詞では語られることのない、彼らの歴史と人生。

職場まではどうやっていくのだろう。
どんな雑誌を読んだりするのだろう。
晴れた休日にはどこかに出かけたりするのだろうか。

一日のほとんどを考えている。
寝ぼけていても、考えている。

『中江兆民集』【近代日本思想大系3】
編集・解説/松永昌三

時間がかかったけれども、読み終えた。
これまでの思想大系の中で一番かかったのではないか。
漢文を素養としたきれいな文節を操る中江兆民。
わからないなりにも、その文章がきれいだと感じる。

一行ずつゆっくりと読んでいく。
何度も前に戻り、読んでいく。

中江兆民の言葉や文章法に慣れてくると、
理解が早くなる。そりゃそうだ。

中江兆民。
これまでに、一つだけ読んだことがあった。
『一年有半』。それだけだった。
それも収められている。
もちろん読んだ。

有名な『三酔人経綸問答』。面白い。ユーモアとエスプリあふれる論旨。

学校の先生が、中江兆民だったらいろんなことがわかりやすいだろうな。そう思った。
中江兆民。頑固だけども楽しいおっさん。
中江兆民。町の気のいいインテリ。
中江兆民。もう友達。


三酔人経綸問答
平民の目ざまし
国会論
選挙人目ざまし
一年有半
続一年有半
新聞・雑誌論説集
補注

「妄言妄聴」徳富蘇峰
「中江氏の臨終に就て」板垣退助
「中江兆民先生追懐記」石川半山
「中江兆民居士」渋江保

解説/松永昌三

年譜・参考文献