●1513●『不合理ゆえに吾信ず』『闇の中の黒い馬』『悪夢のドライブ』『古事記と日本書紀』『検証・昭和史の焦点』『昭和怪物伝』

2009年1月2日 23:50:01

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ようやく年が明けたと感じる。
一般参賀、天皇皇后両陛下始め皇族方のお出ましに心新たにし、
靖国神社にて初詣。そして、見沢さんのお墓参り。
今年もいい天気だ。皇居にはたくさんの人。靖国参道では、屋台のいい匂い。

見沢さんのお墓で、映画監督の大浦信行さんと待ち合わせた。
映画の話、演劇の話に花が咲く。
駒込駅まで話しながら歩き、ファミリーレストランに場所を移す。
映画という表現に情熱を傾ける監督と演劇の世界にどっぷりの自分。

「いつか映画を撮りたいんですよ」と言った。
「演劇のほうが、難しいです」と大浦監督。
「映画の飛躍が羨ましい」と言った。
「演劇人は凄いですよ」と大浦監督。
映画・演劇の話から、政治、芸術の話、そして今年の活動の話。
大浦さんと話しながら、はっとさせられた。

『降りなければいけない』という一言。

『スーザンナ・マルガレータ・ブラント』を書き終えてからの、
言葉にならない高さ。恐るべき孤独。
その正体を大浦さんが事も無げに言い切った。
はっとした。そうか! と思った。

お互いの場所をはっきと思いながら、楽しい時間を過ごす。
気が付くと日が傾こうとする時間。
脚本が書けずに本ばかり読んでいた昨日も今日も。

脚本が間に合わなければそれまでじゃないのか。
いや、間に合わないという状況に果たして自分が耐えられるかどうか。
いや、それよりも無理やりに書いて不満足燃焼のかけらもない作品を劇団員に提示することの恥。
その事の方が耐え難いか。

本を読んでいた。

『不合理ゆえに吾信ず』埴谷雄高(141)
『闇の中の黒い馬』埴谷雄高(173)
『悪夢のドライブ』木下半太(411)
『古事記と日本書紀』神野志隆光(211)
『検証・昭和史の焦点』保阪正康(268)
『昭和怪物伝』大宅壮一(309)

先日の一水会の忘年会で話にあがった本を入手。
『昭和怪物伝』。昭和48年の本だ。
今、読んでいる『生命の実相』の話になり、谷口雅春氏の話になり、その流れで、
谷口雅春氏が取り上げられている、と本書が話題になり、
ネットの古本屋さんで購入。300円。面白くて一気に読んだ。
怪物と言われる人、悪人とか善人ということを越えて、得体の知れない複雑怪奇な人々。
一筋縄ではいかない人々、そんな人たちを大宅壮一が滅多切り一刀両断論評している。
面白いので俎上にあがった全員を紹介。昭和48年当時の怪物たち。

久原房之助・三木武吉・河野一郎・平塚常次郎・馬島僩
藤山愛一郎・佐藤和三郎・水野成夫・阿部真之助・下中弥三郎
谷口雅春・東郷青児・勅使河原蒼風・岡本太郎・森繁久弥・石橋湛山

政治家が多い気もするけど、確かに一時代を築いた怪物揃い。

そして、埴谷雄高を読み始めた。
今年は、軸がぶれないように読もうと決めている。昨年の一つの反省による。
昨年は、500冊という目的のために何でも読んだ。とにかく読んだ。
一年の読書の体系としては、あっちにふらふらこっちにふらふら。

今年はどっかと腰を据えてみよう。そう思っている。
軸。「埴谷雄高」「ドストエフスキー」「近代日本思想大系」

この3軸だけで一年は終わるはずだ。これだけに焦点を当て、これしか読まないと腹をくくれば、
本を一冊も買わなくてもいい。でも、
そんなことを思った初日から、もう浮気をしている。
どうでもいい現代の小説なんかを読んだりした。400ページものだけど、2時間で読めて、反省。
古事記は資料、保坂はつい・・・

3軸を中心に!

と本屋さんに行っても心に言い聞かせ、
部屋に積み上げた「埴谷」「ドスト」「思想大系」を思い浮かべる。
とはいえ、やっぱりあれこれ読むんだろうけど、あくまでも今年は、3軸!