コトバという名前の梟、友達、夜にらめっこをしながら、ぼんやりと

2010年1月21日 22:32:44

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銀座まで行こうかとふと考えたけれども、
強まる風と急激な冷え込みにしり込みして、昨夜書いた手紙を出すために郵便局に行った。
切手一枚80円。

また数日後には、宛て先不明で戻ってくるだろう。

ふくろうだけが友達だ、と鈴木さんに言われる。
そうかもしれない。そんな生活だ。なあ、コトバ、と声をかける。
ぼくがいない間、おとなしくしてたかい、さみしくはなかったか、おなかがすいたろ、と。
コトバの前に顔を近づけ、にらめっこ。

その手紙はいつも戻ってくる。
そりゃそうだ。宛て先は20年も昔の住所だ。
20年か。そりゃまあいろんなことがあった。

顔を近づけていくとコトバは、餌をくれと、にゃー。
食欲旺盛。ちょっと食べすぎ。甘やかせ過ぎ。過保護の箱入り。
餌はまだ、と頭をつつくと、元気よく飛んでいった。

健康第一だ、なあ、コトバ。

みんな健康でいてほしい。
みんな元気でいてほしい。
風邪をひいている人の風邪が早く治ればいい。
重い病を抱えている人が元気になればいい。
怪我をしている人も早く治ればいい。
健康第一だ、なあ、コトバ。

何通の手紙が戻ってきただろう。
お前には言わなきゃいけないことがあるんだ。
謝らなきゃいけないことがあるんだ。20年か。

あの日からどれだけの夜を過ごしてきただろう。
コトバとにらめっこの夜。こんな夜もある。世界中の健康を祈る夜もある。
手紙が戻ってくる夜もある。惜別の夜もある。

机に広げられている書きかけの原稿用紙。
その上に万年筆。

何も書きたくない夜も、ある。