伊藤正福さん新著発売!

2012年6月6日 21:38:30

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『北一輝のための終りなき戯曲 北君イツ立ツカ 返待ツ』
伊藤 正福

劇作家であり、演出家でもある佐渡在住の伊藤さんの戯曲がついに発売された。

待ちに待った本だ。
伊藤さんとは年に数回お会いし、

北一輝の話、佐渡の話、演劇の話、どうでもいい話、
年齢は随分離れているはずだが、なぜか、どこか、とても気があう。
演劇においても、人生においても、大先輩なのだが、『友人』なんだ。
氏の人生を垣間見るに、そして、今の氏を見、

ろくでなし、

と思ってしまう。「ろくでなし」という一語の意味にいいも悪いもない。
そのままの意味だ。

ろくでなし。

ぼくの演劇公演には、佐渡から駆けつけてくれる。
ぼくは毎年佐渡を訪れ、伊藤さんの家にお世話になる。
伊藤さんは、夏の間中毎日海で何キロも泳ぎ、
堪能な英語力を生かし、海外からの観光客をも案内して回り、

こうして脚本を執筆される。

佐渡の海でどこまでも沖に向かって泳ぐ氏を見ていると、
そのまま、海の中に入り込んで、タコにでもなってしまうんじゃないかと思う。

ひげと色眼鏡。
ぼくと同じだ。

今日、本が届き、伊藤さんに電話をした。
いつもの声が聞こえてきた。今年も佐渡に行きますよ。

その伊藤さんの本が発売された。
北一輝だ。伊藤さんのライフワークとも言える北一輝。
ぼくが見沢さんを追いかけるように、
伊藤さんは北一輝を追いかけている。

素晴らしい戯曲だ。
ぼくにはとても書けない。この本には、人生が書かれている。
読みながら思った。こうして、
「北一輝を語ることは、自らの人生を語ること」ではないか。
伊藤さんは、それを意識していたかどうか。

北一輝を追い続けながら、
伊藤さんは、自分の背中を追いかけていたんだ。
あらためてそう思った。とにかく、豊かなんだ。優しいんだ。

本書を包み込む豊かさは、もしかしたら、年齢を重ねないと書けないのかもしれない。
ぼくにもいつか、こんな脚本が書けるだろうか。
こんなに優しい、こんなに豊かな物語が書けるだろうか。

そして、特筆すべきは、本書に溢れ流れ続ける言葉を彩るメロディだ。
脚本中に流れる旋律は、書き手のセンスが問われる。
それは、ト書きに指定される楽曲のことではない。

言葉と言葉の間、一行と一行の間、ページとページの間、
そこに「在る」メロディ。旋律。リズム。
伊藤さんの歌を聴いたことはない。
聴いたことはないが、ぼくは、本書を読みながら、氏の歌う声を確かに聴いた。

伊藤さんは今も佐渡で酒を飲みながら、「居る」だろう。
今年の夏、佐渡でお会いしたら、変わらぬろくでなしぶりを発揮するだろう。

伊藤さんの本が発売された。
待ちに待った本だ。

大切に大切に、読んだ。