『パズルの軌跡』『究極のドグマ』『ビブリア古書堂の事件手帖3』『特等添乗員αの難事件II』『神曲 地獄篇』『トッカン』『最高に贅沢なクラシック』『冥王星を殺したのは私です』『偶然と驚きの哲学』『九鬼周造エッセンス』

2012年6月24日 00:53:57



次の約束は、8月。盛夏、お盆。
告知チラシも出来上がった。HPも間もなく出来上がる。
今回の作品は、舞台効果や照明効果が大きな比重を占める。
もう二か月も前からスタッフとは綿密な打ち合わせを重ねている。
そしてそれらの製作に取り掛かり、たった数日の約束を果たすために時間を費やしている。
脚本と呼ばれるものはまだ完成していない。完成の形さえ見えていない。ずっと、脚本を書いていると言い、いやそうじゃない、ぼくは演劇を書いているんだと宣言してみたり、それさえも反故にし、ぼくは作品それ自体を書いていると言い直し、今はそれも放棄しようとしている。何も書いていないんだ。この作品において書くと言う作業は大きな無意味を意味する。だから全然書けない。今、ぼくに書けるのは、豊かな悪意から発せられる小さな個人しかない。しかしそれは今の環境や今の条件では上演することが難しい。全く新しい環境と動機でしかその作品は発表できない気がしている。
とはいえ、だ。稽古の開始までにはどうにか形にしなければならない。それが務めというものだろう。
脚本家をやめ演出家をやめ美術家をやめ、照準機関になった。
言葉通りだ。ぼくという現象は一つの機関にすぎない。ぼくという出来事は一つの機関でしかない。
その機関の作用は、照準すること、というだけの話だ。
照準機関という呼称或いは肩書に眉をひそめ心中で馬鹿にしたりする先輩たちもいるだろう。
また生意気になんて思っている人もいるだろう。それはそうだろう。先輩方が夢見、手を伸ばしたものをぼくは手に入れたんだから。
何十年も「演劇」というものを創りながら、客と飲むこに楽しみを見出し、稽古場で慣れ合うことに安心し、惰性と慣性で「演劇」を創り、演劇仲間だのを大切にし、そのエンゲキナカマでナカマエンゲキを創り、稽古開始だ小屋入りだ開幕だ楽日だと学園祭。約束一つ守れずに何の肩書か。演出家だの制作だの代表だのと。中二病どもめ。
ぼくは何もいらない。仲間もいらない。環境さえいらない。ぼくはぼくという出来事一つあればいつでも作品を発表できる。
ほらまた生意気なことを言ってる。本当のことはやっぱりいらっとするだろ。何もかも取り上げてやるからそれで作品を創ってみろと言われれば、ぼくは嬉々とそれに取り組む。さあ、ぼくから全てを取り上げてくれ。
あんた方がそうしないならいずれ自分でそうする。ぼくは今のぼくから何もかも取り上げ棄て去り捨て創る。

『パズルの軌跡』機本 伸司
『究極のドグマ』機本 伸司
『ビブリア古書堂の事件手帖3』三上延
『特等添乗員αの難事件II』松岡 圭祐
『神曲 地獄篇』ダンテ
『トッカン』高殿 円
『最高に贅沢なクラシック』許 光俊
『冥王星を殺したのは私です』マイク・ブラウン
『偶然と驚きの哲学』九鬼 周造
『九鬼周造エッセンス』九鬼 周造