『ストロベリーナイト』『インビジブルレイン』『貴族探偵』『最強の経済ヤクザと呼ばれた男』『富士学校まめたん研究分室』『若者よ、マルクスを読もう』『女王ゲーム』

2013年12月17日 23:59:17



作品を発表するたびに俳優の鶴見直斗さんと車でじっくり話す
というのも、舞台美術や制作資材などを車で運びこむのだが、それを二人でやるのだ
会場入りの日、早朝、疲労ピークの体を互いに電話で起こし合い、もろもろを車に積み込む
作品発表が終われば、みんなで車に積み込み、真夜中に事務所だの自宅だのに返していく

その道中、車内に男二人
かかっている作品について話すことはほとんどない
話しと言えば、先の話だ
次の舞台美術のことだったり、荒唐無稽な物語であったり、巨大な舞台装置の可否についてだったり、だ
それが楽しい

ぼくがプランを話すと、鶴見さんの頭の中で具体的な記述機関が動き出すのだろう
そのプランの問題点を洗い出し、実現への道程を描き出していく
そうやって組み上がった舞台美術がたくさんある

そんないつもの車内だが、先日、と言っても9月のことだ
今年鶴見さんは、舞台に立ち続けた。一体何本の舞台に立ったのかさだかではないくらい、立った
それが話題のきっかけだった
「高木さん、毎月舞台に立つのはいいのだけど、インプットができないんですよ〜」

いつもの調子でほんとうに悩んでいるのか考えているのかわからない口調で話し始めた
「インプットしないと、なんにもうまれないんです〜」そう語る鶴見さん
そりやそうだ。インプットしないで、アウトプットし続けることなんかできるはずがない
ぼくは、インプットの時間や期間をとても大切にするし、その時間や期間を無理にでも確保する

本を読むこと
映画を観ること
音楽を聴くこと
美術館を回ること
着物を着ること
舞台作品を観ること
友人に会うこと
作品のことを考えないこと
政治的社会的な会合に参加すること
おしゃれすること
無駄に時間を費やすこと
お金の無駄遣いをすること
好きなものを食べること

そんな何もかもがぼくのインプットなんだが、と、そんなことを鶴見さんに話す
「そ〜ですよね〜」とわかったようなわからんような何とも心もとない返事があった
今年は、5月から2か月おきに作品を発表した。5月、7月、9月の三本。
それに取り掛かっていた都合7か月、インプットらしいインプットはできなかった
作品のことばかり考えていたのだ
その弊害は、すぐに来た。頭の中が枯渇するのだ。浅いイメージしか見えないのだ。

9月の作品を終えて、ひたすらインプットに努めた
好きな本を読んだ、映画に足を運び、東京を離れ、美術館も回った
たくさんの音楽を聴いているし、友人との約束を大切にもした
無駄遣いばかりして、だらだらと時間を垂れ流している

だらだらと無駄に時間を垂れ流しながら、じわりじわりと充ちてくるものを感じる
あの枯渇した脳内に血がめぐるのがわかるのだ
ひたすらインプット的な日々を送っている
はたからみればこれほど自堕落な生活もないだろう
先にあげたインプットの事々。考えてみれば1円にもならないなんとも非生産的な事事。

今、非生産の極みにいる

『ストロベリーナイト』誉田 哲也
『インビジブルレイン』誉田哲也
『貴族探偵』麻耶 雄嵩
『リロ・グラ・シスタ』詠坂 雄二
『最強の経済ヤクザと呼ばれた男』山平 重樹
『富士学校まめたん研究分室』芝村 裕吏
『若者よ、マルクスを読もう』内田 樹
『女王ゲーム』木下 半太