『人間失格』太宰治

2007年11月23日 00:00:38

写真

原点。

確かにそうだろう、と
今でも思う。

本ばかり読むようになり、
本を読むことが一番の愉悦となり、
本と話すときが唯一本当の饒舌となり、

この一冊が正確に、きっかけになった気がする。
これまでに一番多く読んだ本だろう。

最初は、

小学校の3年生だったか。
漢字を利用できるくらい覚え始めた頃。
近所に一軒の書店の文庫棚。
一際目立つタイトルだった気がする。

そういえば、19歳のころ、
本を読むバイトをしていたことがある。
不意に思い出した。

『人間失格』
太宰治

どんなバイトか。
ある会社の(もちろん会社名は覚えているが)
専務さんだか、常務さんとの個人的なバイト。

本を読んで、
その本の内容を整理して、
ポイントやテーマやキーワードや
ある種的確な批評を伝える、というバイト。

その方は(もちろん名前は覚えているけど)
パーティや会合に出席することが多く、
銀座に飲みにいくことも多く、
文学への憧れが強く、
出世欲も強く、

一冊5000円だったか。

「この本のテーマは、○○○で、
登場人物○○○の「○○○」という一言が、
決定的な背景を描いて、
まあ、一種の破滅の美学への憧れですね。」

とか、

「この本は、○○○というのがキーワードになっていて、
その言葉から放射状にモチーフが広がって、
だから、散漫ともとれるけれども、
視点がマクロに移って、
自分としては面白かったですね。」

とか、

そうそう、本を指定されることもしばしば。
指定されて、期限が「明後日ね」とかだと、
10000円くれたのかな。
それは、例えば直木賞をとったものを三日後とか、
芥川賞受賞作を今日の夜までとか。

「今回の直木賞は、○○○で
小さくまとまりすぎているきらいはあります。
選評では、○○○とありますが、
どうも政治臭がして仕方ありません。
はっきり言ってつまんないです。」

なんてことを
レポートを出して、
その方の専用の秘書室で週に一度話す仕事。

いいバイトだったな。

週に4万円とか5万円とか頂いていた気がします。

さて『人間失格』。
多分、100回は読んでいるでしょう。
どこに何が書いてあるのかは、
もちろん頭に入ってる。
今日の疲れ果てたこの体にこの小説がどう入ってきたのか。

にこにこと。

うん、
にこにこと読みました。