『ナショナリズム』浅羽通明

2007年11月25日 22:03:21

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さて、9月より遂行中の
読書プロジェクト・コード名「鈴木邦男」
9巻まで一気に読んだところで、
なぜか、横からお話が。

その主は、当の本人鈴木邦男さんであり、
一水会代表の木村三浩さんであり、

木村さんにいたっては
「(プロジェクトを)中断してでも読みなさい」と。

ということで、ご両人推薦を読んでいます。
コード名「鈴木邦男と愉快な右翼達」

昨日、鈴木邦男さんにお会いしたときに
すすめられた本が、

『ナショナリズム』
浅羽通明

昨日すすめられたのは2冊。
本書ともう一冊は、同じ浅羽通明氏の『アナーキズム』
両書とも
「名著でたどる日本思想入門」と副題がついています。

「高木君、今君が読んでいる思想大系を
もとにして書いてるのがこの2冊だよ」と。

さっそく買い求め、移動時間を駆使して読みきりました。

確かに日本思想入門でした。
10数冊の「ナショナリズム」の本を取り上げ、
その背景と前後左右の連絡(浅羽氏得意の方法です)を
分かりやすい筆致で書き進めています。
一冊の本から論旨を展開させ現代における課題と意義まで
疑問提起しながらなので、
最終的には、読者が判断しなさい!という感じですが、
確かに入門書です。

取り上げられている本は、

小林よしのり「戦争論」
石光真清「城下の人」「曠野の花」「望郷の歌」「誰のために」
橋川文三「ナショナリズム」
金田一春彦ほか「日本の唱歌」
志賀重昴「日本風景論」
三宅雪嶺・芳賀矢一「日本人論」
小熊英二「〈民主〉と〈愛国〉」
本宮ひろ志「男一匹ガキ大将」
司馬遼太郎「坂の上の雲」
村上泰亮ほか「文明としてのイエ社会」
小沢一郎「日本改造計画」

浅羽氏は、あとがきで

「(前略)本シリーズのベースには、筑摩書房刊「現代日本思想大系」全三十五巻がある。(中略)
十代から二十代にかけ、
五百円前後で古本屋にあった「現代日本思想大系」を、
一冊ずつ買い求め、
解説中心に耽読(全巻読破などはしていません。念のため)して
思想史の面白さにはまった私にとって、(後略)」

と書いています。

本当にそうだ!と。

日本思想大系を読めば読むほど、
思想史というものの面白さにはまっていきます。
本書は、そのエッセンスを濃度を失うことなく抽出し、
且つ他の文献を巧みに配置論説し、
自分にとって、これまで読んできたことの
ある種の思考的まとめみたいな感じです。

さて、次の「アナーキズム」を開きましょう。