『床下仙人』原宏一

2008年1月4日 02:24:34

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昨年読んだ本は、241冊。
250冊くらいは読めるかなと思っていたけれど、
ちょっと届かず。
『ノルマ!』と強い意志がなかったからだな。

ということで、

今年の『ノルマ』は300冊。

もう一回言っとこう!
今年の『ノルマ』は300冊!
平均すると、週に5冊半。

ということで、
どんどん読んでいます。
今は1日に1冊半くらい。
昨年、購入していながら読んでなかったのとかを
一気に片付けています。

以前書いたけれども、自分はどうも「黄色」に弱い気がしてきました。
本書、表紙を見てみると、「黄色」。
そんで、最近書店に行くと、
どうにも気になる本があるんです。
その本もやっぱり表紙が黄色。
タイトルは「チーム・バチスタ」なんとかっていう奴。
どうでもよさそうなので買ってもいないのだけど、
書店に行くたびに、あの「黄色」は目にはいるんだよなあ。

『床下仙人』
原宏一

さて、黄色い表紙の本書。
先に帯を紹介。

「イッセー尾形氏驚く!
文芸評論家関口苑生氏唸る!
異能の人・原宏一。
この技量は並大抵のものではない」

と。

ほうほう、なかなかキャッチーです。
となるとやっぱり期待して読むわけです。

読みやすい導入。数行で折り合いがつき、
どんどん読めます。
短編が5編収録されているのだけど、
トップが表題作。

星新一のような形容の使い方で心地よく、
ラストが楽しみになってくる。
半分くらいのところで、

(どんなラストシーンもありうるなあ。
異能の人はどうもっていくんだろう)

とわくわく。

読みながらいくつかのラストを想定します。
伏線も微妙なゆるさであちこちにあり、
表題作を8割くらい読んだところで、
想定ラストシーンを二つに絞り込んで、

いよいよラスト。

ラスト手前の展開が予想外だったけれども、
ラストシーンは、当たり!

と喜んでいいものかどうか。

でも、心地よく読み、次に進みます。
表題作の思考と折り合いがつけば、
後は必然的な実験結果としての
各編のラストを確認することができるでしょう。

段々飽きてきたりもするんだけど、
おもしろく読みました。一時間半で読めます。
一世代前の風刺的感覚だろうけど、
それほど古くもない。
けれども、どっかで懐かしく、古臭く。

「家の中に変な男が棲んでいるのよ」妻の訴えを、
おれは一笑に付した。
念願のマイホームに入居して二カ月、
そんなバカなことがあってたまるか!
長距離通勤で疲れているおれをからかわんでくれ!
だが出張から帰宅したある日、おれは我が目を疑った。
リビングで、妻と子が得体の知らない長髪、髭面の男と談笑しているではないか。
いったい、誰なんだ、この“仙人”みたいな野郎は!?(表題作より)
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