『福沢諭吉』【現代日本思想大系2】編集・解説/家永三郎

2008年1月8日 00:03:06

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先日、あるところで質問を受けたのでここで答えておきます。

「読書の年間ノルマ300冊の中に漫画は含まれますか?」

20歳の時に作ったルールが一応あります。

・雑誌・新聞・機関紙等は含まない。
・資料などで、一部を読んだものは含まない。
・漫画は完結した時点で、一タイトル、一冊と数える。
(なので、『こち亀』を読んでも完結していないので、含まない。
『20世紀少年』は、先日完結したのでカウントする)
・辞書、辞典等は含めない。
・絵本、童話、詩集等は、含める。
・写真集、画集、書集は、含まない。

という感じのなんとなくルールです。
「文字を読む」と「完結」が基本ルール。

さて、その20代。
確かに本ばかりを読んでました。
読んでいた本は、小説ばかり。
8割以上が小説。
残りの2割が歴史書であったり、思想書であったり。
小説も有名どころは、10代で大体読んでいたので、
なんとなく新刊を追いかけるような感じでした。
新刊追っかけに疲れると、
安部公房や太宰治、ドストエフスキー、
夏目漱石、丸山健二なんかの、
親しみ深いものを振り返ったりしてました。

小説を読み続け、
面白い作品というのがなくなっていくのを
肌で感じていきました。
芥川賞、直木賞をはじめとする大きな賞の受賞作に
「面白い作品」が出なくなっていくのを感じていました。
読みたい本がなくなっていくことを感じていました。

帯がお粗末になっていく。
大きな文字になり、ページ数だけを稼いでいる。
文庫本の値段が上がっていく。
理由の分からない新書や、文庫が創設されていく。

本自身が、

本自身が、自分の命の短さを感じているのか、
本自身が、自分の出生の軽さを感じているのか、

書店で本が喜んでいる姿を見なくなっていきました。

『福沢諭吉』【現代日本思想大系2】
編集・解説/家永三郎

第2巻です。
タイトル通り福沢諭吉。

戦後日本思想大系もこの現代日本思想大系も
巻頭に編者の解説があるのですが、
この解説が素晴らしい。
解説だけで80ページ近くあり、
ちょうど新書の一冊分くらいの分量なのです。
解説で「福沢諭吉」を概観していきます。
ここだけで、完全な「福沢諭吉論」

収録されているのは、以下の通りです。
福沢諭吉の大量の書籍の中から厳選されています。
久しぶりに読む「学問のすすめ」と「文明論の概略」。
改めて読むと、福沢諭吉の人となりがはっきりと出ています。
彼の思想遍歴。

福沢諭吉を想像するわけです。
彼の残した文章を読みながら、どんな人だったか。

実際に当時付き合ってみると、、
高木は苦手なタイプではなかったか。
一緒に居酒屋にいても面白くないんじゃないかなあ。
偏屈でわがまま。
未来を予見する能力を持った子供。
世間と折り合いをつけることに価値を見出さず、
その言葉に毒を持ち。

実際に付き合うと、
たぶん、異常に消耗しているでしょう。
防衛本能で「苦手」と感じていた気がします。

それはそうと、
面白いおっさん、という感じで読みました。
「福翁自伝」は、今出版されている小説よりも
数倍は面白いです。
笑いあり涙あり、と。
多少の脚色があるのかもしれませんが、
読み物として、物語として、びっくりものです。


解説「福沢諭吉の人と思想」家永三郎

【福沢の思想形成】
「福翁自伝1」
「福翁百余話1」
・禍福の発動機149
「福翁自伝2」

【学問観】
「学問のすすめ(抄)
「福翁百余話2」
・物理学194

【文明観・歴史観・人生観】
「文明論の概略(抄)」
「福翁百話1」
・政治は国民の公心を代表するものなり294
・政論296
・史論301
「福翁百話2」
・天道人に可なり304
・前途の望み308
・造化と争う309
・国はただ前進すべきのみ311
・世は澆季ならず313
「覚書」
「福翁百話3」
・人間の安心342
・人間の心は広大無辺なり343
・事物を軽くみて始めて活潑なるを得べし344

【家族制度改革論】
「日本婦人論」
「福翁百話4・福翁百余話3」
・子に対して多を求むるなかれ376
・子として家産に依頼すべからず375
・成年に達すれば独立すべし376
・文明の家庭は親友の集合なり377
「一太郎宛書簡」

【資本主義観】
「時事新報評論」
・銭の国たるべし387
・節倹と奢侈395
・御用商人403
・尚商立国論405
・富豪の要用417