『ナショナリズム』【現代日本思想大系4】編集・解説/吉本隆明

2008年1月13日 22:45:04

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ノルマを上方修正しようかな。

今年は、読書のノルマを300冊と決めたんですが、
今日、書店でそのことをを考えていたら、

(20代には、毎年300冊読んでたじゃないか。
もっとたくさん読めるはず!)

と、なぜか戦闘的になり、ノルマを上方修正しようかと。

じゃ、何冊?

一日一冊!

計算しやすいし、カウントしやすいし、
いけるんじゃないか?
それに、

一人一殺とか、一殺多生みたいだし。

ということで、
一日一冊に修正。

『ナショナリズム』【現代日本思想大系4】
編集・解説/吉本隆明

今年読むであろう本のうち、
大半は、このシリーズになるんだろうな。
各巻400ページを超える2段組の思想書。
・・・一日一冊・・・大丈夫か?・・・

弱気になったりもしますが、
挑戦してみましょう。

さて、第四巻『ナショナリズム』を読了。
そのタイトルから、興味を引き立てられ、
楽しみに本を開きました。

通例どおり、解説から始まります。
本巻の解説は、吉本隆明さん。
・・・一行目から、難解・・・

「社会学・政治学の範疇では、
世界史が資本制にはいってから後に形成された
近代国家そのものを単元として、
社会や政治の世界的な諸現象をかんがえる立場をさしている。
近代資本主義そのものと相伴う概念である。」

そりゃ、そうかもなあ、と考えつつ、
もう少しやさしく書けばいいのに、と思いつつも、
こうとしか書けないんだろうな、とも思う。

んで、解説は、難解な、読みようによっては冗長な文脈をたどりつつ、一歩一歩進みます。
驚いたのは、ナショナリズムを証左していく段階で、
唱歌・童謡をとりあげ、
その時代の上からの「雰囲気」と
下で感受される「雰囲気」を描いていること。

解説を読み終え、満腹感を覚え。

本稿に。

山路愛山、高山樗牛、石光真清、徳富蘇峰、
陸羯南、中野正剛、杉本五郎、竹内好。

これまであまり読んでこなかった人々が並びたちます。
一編一編、鉛筆片手に一歩一歩。

現代出版されている、「ナショナリズム論」的な本とは、
決定的に違うのが、その表情。
一文字一文字、原稿用紙に刻み付けているその、顔。
それは、決定的であり、
ある意味において、時代が書かせたのかもしれないけれど、
金銭を離れ、生活を離れ、
著者の全存在を注いでいるのが、ありありとわかる。

書くことによって、世界を敵に回すかもしれない。
書くことによって、生活を失うかもしれない。
書かざるを得ない。
歴史の審判を待とうとする、謙虚であり、強い信念。

今、こんな、表情が、あるだろうか。


解説「日本のナショナリズム」吉本隆明

【心情】
「韓山紀行」山路愛山
「日蓮上人とはいかなる人ぞ」高山樗牛
「神風連」石光真清
「弔鐘」石光真清

【論理と展開】
「日本の歴史における人権発達の痕迹」山路愛山
「将来の日本」徳富蘇峰
「近時政論考」陸羯南
「国家改造計画綱領」中野正剛
「大義」杉本五郎
「近代の超克」竹内好