『地獄誕生の物語』中川文人

2008年2月17日 23:09:46

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中川文人さんから、氏の新著をいただきました。
自宅に送られてきた御著書。
出版されるのは、以前に伺っており、
発売を楽しみにしていたところでした。

わくわくしながら包みを開けました。

目を引く表紙です。
書店に並んでいるのも見ても、必ず手に取るでしょう。
そんな求心力のある表紙です。

先日、中川さんと
この本の物語を演劇に、と話をしました。
読み終えた、今、

画が見えます。
壮大なイマジネーション演劇。
観客の想像力をその原動力とする演劇。
カラフルでありながら、水墨画のような幽玄の演劇。
洋の東西を超越し、時代を簡単に飛び越え、一人の人間が目の当たりにする、
定点観測的な大河演劇。

読み終えた、今、一本の演劇を見始めました。

『地獄誕生の物語』
中川文人

タイトルにあるように、地獄の物語。
著者中川文人さんの着想にまきこまれ、
一気に読んでしまいました。

そして、考えることしきり。

ここに「居る」という概念、
そこに「或る」という概念

そんなものを一跨ぎに超えている中川さん。
ギリシャ以来、2000年以上も考え続けられている存在の哲学。
その止揚する思想を大きく超えて、
すっくとたった一人の人間が勇気を持って見た、定点。

地獄とはなんだろうか。
それを、考えざるをえない。
中川さんが見た解答。
中川さんが感じた解答。

この本は、見ることと信じることの勇気を見せてくれる。
この本は、どんな哲学書も書き得なかった、新しい哲学。
この本は、同時に道徳の書。
学校教育で取り入れると素晴らしいと思える。

一気に読み終えた。
頭の中に地獄が居残っているかと思いきや、
そうではなく、新しい思考の道が、開けている。

アマゾンから、内容を紹介。

「地獄ってそもそも何?」
「誰がみたの?」
この素朴な疑問から出発する本書は、
これまでなんとなく人々の間で共有されてきた地獄観を根底から覆す発見に満ちています。
たいていの人は地獄(および天国)を、
「死」という不可知な現実に対して、
宗教家や民衆が想像力で作り上げた物語が、
現代の「文明化された社会」にまで伝来してきたと信じているのではないでしょうか。
もちろんそうした一面があることも確かです。
しかし本書の著者・中川文人氏は
「それだけでは地獄を説明したことにはならない」と、
地獄の「起源」を探る思索に入ります。
そして、芥川龍之介の『地獄変』や源信の『往生要集』などの古典を手がかりにし、
ついには地獄の起源となる時代を突き止めることになります。
「地獄の起源」などというと荒唐無稽な話に聞こえるかもしれませんが、
著者本人の言葉を借りていえば、
「正しい史的唯物論的方法」を用いることによって、
非常に説得力のある形でそれは実証されます。
この発見を梃子に、
著者は創作物語(ヒバリの丘とナラクの国の運命をめぐる)『ナラクの悲劇』の執筆に取りかかり(本書に同時収録)、
より普遍的な形で「地獄誕生の物語」を完成させることに成功しました。
アナーキスト思想家・矢部史郎氏が解説を書き、
誰もが瞠目するに違いない「歴史の真実」に踏み込んだ、
驚くべき成果といえると思います。
とはいえ、本書は大仰な「歴史書」の体裁を取っているわけではなく、
ときにユーモラスに、
そしてときに残酷に「歴史の真実」を示唆してくれる良書に仕上がっていると思います。
本書を読めば、あなたも歴史哲学者としての感性が揺さぶられることとなるでしょう。」