●思想に埋まる●4冊●『民俗の思想』【現代日本思想大系30】『「日本」への問いをめぐる闘争』『「昭和」を点検する』『論語』【新書漢文大系1】

2008年8月17日 00:04:06

写真

劇団再生の稽古。
こないだ公演を終えたばかりだけれども、休むことなく稽古を重ねる。
なんだか、懐かしく感じられる劇団員。
次の公演までの仕事分担を決めていく。
スケジュールを確認していく。
見沢ママから頂いたお菓子を食べていく。
写真家平早勉さんから頂いた多量の写真をみんなで見る。
いつもと同じように体を作る。声を作る。そして、
次の公演に必要ないくつかのイメージの足がかりに取り組んでいく。

次の次の公演のことを考えている。
次の公演は、12月。その作品は、すでに頭の中にある。
明日、筆をいれる。

頭の中にある『スーザンナ・マルガレータ・ブラント』
脳の外縁を回っている言葉の数々とその少し内側を逆周りの回っている音と光。
その内側には、数枚の画。そんな何十もの球体が、

一本の脚本を書かせてくれる。

そうだ、12月の次の公演のことを考えているんだった。
来年の早春。会場は、ホーム阿佐ヶ谷ロフト。
どんな演劇ができあがるか。

今日、一人の女性が劇団再生に入団した。

『民俗の思想』【現代日本思想大系30】編集・解説/益田勝実

『「日本」への問いをめぐる闘争』植村和秀

『「昭和」を点検する』保坂正康+半藤一利

『論語』【新書漢文大系1】著/吉田賢抗・編/加藤道理

昨日から、どんどんと読み終えた。
現代日本思想大系は、相変わらずものすごいエネルギで編まれ、
天皇機関説問題を主とした闘争に新しい演劇の形を見、
昭和戦前期における5つのキーワードに歴史探偵の足跡を追い、
論語の一言一言に自身をどうしても振り返る。

『「日本」への問いをめぐる闘争』は、えらく高価な本だけれども、
どうしても読みたくて読みたくて、求めた。
読んでみると予想通りの内容。
続編ともいえるシリーズもやっぱり高価だけれども、仕方ない。
先日書店で求め、今、楽しみつつ読んでいる。
「天皇機関説」問題。何故か、そこに関係していく人々に惹かれている。
望むと望まざるとに関わらず、思想が何かを牽引していくエネルギ。

そして、本を読めば読むほど、自身の無教養に腹がたち、
先日、同志Hさんに相談をした。
「中国古典をきちんとやらねばいけない気がしてます」と。

Hさんに教授していただいたのが、この新書漢文大系。
第一巻は、ご存知『論語』。
原文を読み、読み下し文を読み、解説にあたり、もう一度原文を読む。

全65巻の大系。日本思想大系と並行することになるけれども、
楽しみで仕方ない。

現代日本思想大系の31巻は、『超国家主義』。
鈴木さんが、この大系の中でもおすすめだとおっしゃっていた一冊。

これは、人に読ませたくない・・・
誰にも読んで欲しくない・・・

一人だけの本にしたい・・・

そう思ってしまう。同時にもちろん、みんなこれを読めばいいのに、とも思う。

先月の読書の少なさを少しでも挽回できるか、8月。夕立。


解説「民俗の思想」益田勝実

【民俗への開眼】
「人柱の話」南方熊楠
「山神『オコゼ』魚を好むという事」南方熊楠
「水の神としての田螺」南方熊楠
「ダイダラホウシの足跡」南方熊楠
「明治四十四年八月二十一日書簡」南方熊楠
「琉球史の趨勢」伊波普猷
「オモロ七種」伊波普猷
「をなり神」伊波普猷

【民俗の発掘】
「死者の書」折口信夫
「雑器の美」柳宗悦
「民芸の意味」柳宗悦
「手仕事の日本」柳宗悦
「沖縄語問題」柳宗悦
「老媼夜譚」佐々木喜善
「花祭」早川孝太郎

【明日への民俗】
「日本の憑きもの」石塚尊俊
「嫁の天国」我妻東策
「民話について」木下順二
「忘れられた日本人」宮本常一