●531●『世界教養全集9』

2009年7月26日 22:28:55

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公演まであと1ヶ月。

いつの公演でも、あと1ヶ月か、と思う日があり、
あと2週間、あと1週間だと思う日があり、
明日か、と思う日があり、やっぱり幕は開くんだな、と思う日があり、
それは、どんな公演でも感じてきた感慨で、その感慨は経験則として、
案外自分の立ち位置を正確に指し示してくれる。

あと1ヶ月か。
ぼくは、正確にきちんと間違いなく、ここに居る。

間違っていないか、と誰かに何かに何処かに問うことが、全くなくなった。
いつ頃までだろう。数年前までは、不意の弱気の夜に、
ぼくは間違っていないか、と設問を立てたり、仮説を立てたりしていた。
何が契機になったのか、

その問いが立つことは、なくなった。
正確には、正誤の概念を失くした、という感じか。
同時に判断が自然になり、自分の本当の力をきちんと把握し始めた。
それも数年前からだ。
自分の例えば「才能」とか「実力」とか「対外性」とかを自身、正確に知った。
ほぼ知りつつある、という言い方がより正確か。
脚本を書くということ、
舞台を創るということ、
団体の代表ということ、
企画立案するということ、
社会の中に生活するということ、
そして、何か一つ、ただ何か一つを、近づけり。

ぼくは、ぼくのそれを知っている。

公演まであと1ヶ月。
一冊の全集を読み終えた。
キリストとくると、やっぱり内村さんか。
ここ1年で、3回目の「後世への最大遺物」
何度読んでも深い感慨を得る。

講演録が、何十年もこうして読まれ続けているという現象は全く稀有なことだ。
内村鑑三の人柄と信念が鮮やかに語られ、
こうして一編の読み物として、読み続けられる。

この一冊で、キリストの生涯を追い、イエスの一生を探し、
キリスト教の歴史をなぞり、2000年を読み解く。

『世界教養全集9』

「基督教の起源」波多野精一
「キリストの生涯」J.マリー 中橋一夫訳
「キリスト者の自由」M.ルター 田中理夫訳
「信仰への苦悶」P.クローデル J.リヴィエール 木村太郎訳
「後世への最大遺物」内村鑑三