『スパイのためのハンドブック』『140字でつぶやく哲学』『蒼白の馬上』『レヴィナス・コレクション』

2010年12月15日 21:25:00



案外ちゃんと読書をしている。
時間を決めてちゃんと読んでいる。
もっと速く読めるようになれるといい、と思いながら、
いろいろな方法を試しながらだ。多分、

例えば、今年年初よりは、読書速度は上がっているだろう。
それは、体感している。だからと言って一冊における理解がおちてはいない。

そして、なんだかんだと舞台のことばかり考えている。
目の前にあるその舞台・画・音・肉体に向けて、一人考えている。
一人で充分だ。ぼくは、演出家ではない。ついでに言うなら世に言う劇作家でもない。
じゃあなんだ。哲学者であり、芸術者だ。だから、

素人とは付き合いたくもない。話もしたくない。だから、
社会に迎合するあなたとは、口もききたくない。退屈なんだ。
とはいえ、めんどくさいが相手はする。そんなことは簡単だ。サービスだ。
なぜ相手にするのか。相手にしない方が面倒だからだ。
なぜか。

例えば時間というものがぼくと彼らという「それら」をそんな関係にしてしまったからだろう。
例えば日常というものがぼくと「それら」を退屈な座標に置いたからだろう。
なんだかんだと舞台のことを考えている。
その舞台に立てるのは、選ばれた者だけだろう。
そこで一言でも口を開けるのは、また限定された者だけだろう。

そんなに世間が大切か。
そんなに関係が大切か。
そんなに金が大切か。
そんなに健康が大切か。
そんなに毎日が大切か。
そんなに信用が大切か。
そんなに居場所が必要か。

そんなに大切なもんなら、本気で守ればいい。
本気で守ることを選択すれば済む話だ。そこに、

ぼくに話を合わせる必要なんかどこにもない。ぼくは、そんな場所で話をしたいとは思ってはいない。
一人で充分なんだから。なんだかんだとこうして舞台の事ばかり考えている。

『スパイのためのハンドブック』ウォルフガング・ロッツ
『140字でつぶやく哲学』一条真也
『蒼白の馬上』見沢知廉
『レヴィナス・コレクション』エマニュエル レヴィナス

年初に決めたノルマは達成できそうだ。自分で決めたノルマだからそりゃ達成する。
簡単なノルマだっただろうか、とこうして12月に一応思考俎上にあげる。
毎月30冊以上。年間400冊。全集の読破。
ノルマだから、達成できるかできないか、というラインを設定したつもりだ。
400冊は達成した。あとは全集の読破。それもあと数巻。読み進めている。
簡単なノルマだっただろうか。

思い返すに、そんなこともなかった気がする。
やっぱり無理をしながら、読んだ。犠牲にしたものも多かった。
削ったものも多かった。さあ、来年はどうするか。年間500冊、はどうだ。これは難しい。
設定してしまえば、今から緊張してしまう。

こうして本を読みながらも目に見えている舞台を考えている。
まだ脚本とも言えないが、スケッチを原稿用紙に書き留めている。
浮かび上がる言葉を手帳にメモしながら、巨大な構築物を目の前にする。

とはいえ、実は、正直に書けば、その舞台にも、もう飽きている。
脚本を描いているわけでもない。予算も組んでいない。劇場さえ押さえていない。
制作に取り掛かってもいない。それでももう、飽きている。
ここから先の、

脚本の執筆や稽古や美術や数か月にわたる会話や計算や約束や道徳は、
ただの作業だ。
今、次のその次の舞台が面白くて仕方ない。
プロフェッショナルしか立つことが許されない厳然とした舞台だ。
あまりに要件が厳しい。厳しすぎる。厳しすぎて実現できるかどうか。
だから、楽しい。

画が具体化された時には、もう面白くないもんだ。
そうして今も舞台の事ばかり考えている。一人で充分なんだ。

誰かと、話をしたい、と思うも、話し相手は、どこにいる。