『人間の運命』第2部を読了

2008年3月31日 00:22:52

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『人間の運命』第二部
第3巻・愛と死
第4巻・夫婦の絆
第5巻・戦野にたつ
第6巻・暗い日々

2週間後に本番を控え、稽古が積み重なっていく。
クラモチユキコさんがデザインし、製作した衣裳をまとい、
照明の若林恒美さんを前に
音響の大和二矢さんの音に、

今日、通し稽古をした。

目の前で繰り広げられる俳優が人間として立つことのアリバイ。
そして、同時に物語られるアリバイ崩し。

それを観ながら、俳優の、彼らの、彼女らの、この一ヶ月間の思想した思想をトレースする。
自分以外の他者のはずなのに、それが見えてしまうのは、

何故か。

やはり、背景には、無限の宇宙がいる。
そして、背景には、有限の見ず知らずの他人が、居る。
アリバイを作りながら、それを同時に崩すことは、芸術にしかできないマジックのはずだ。
時間を自在に操ることのできる特権と、同時に屈辱は、芸術家にしか許されないのではなかったか。

何故か。

ハムレットの矛盾性ゆえの生々しい人間。
オイディプスの思考性の浅さゆえの生々しい人間。
与ひょうの生活性ゆえの生々しい人間。

人間を一人、創ってしまう。
神のみが許されていたその行為。
それに挑もうとする。

イカロスの翼は、太陽に焼かれてしまっても、翼だろうか。
焼かれてしまった後に残るのは、翼ではないか。
太陽の熱は、翼という思想も焼き尽くすだろうか。
思想が焼き尽くされたら、イカロスは、もはや飛べないだろうか。
目に見えない翼は、思想になるのだろうか。
翼がなくても、翼といえるのだろうか。

人間。

それを創ることに挑むのは、

『人間の運命』第二部を読み終えた。
ここ数日で、4巻。

14巻の山は、残すところ第3部の2巻のみ。
このたった数kgの書物の中に、完全に創造された、人間。

生々しい人間。

生々しい人間。

今日、通し稽古をした。
照明部は、その目で2週間後の舞台を見つめ、人間創造に挑むだろう。
音響部は、その耳で2週間後の舞台に耳を澄まし、人間創造に挑むだろう。
衣装部は、その手で2週間後の舞台に触れ、人間創造に挑むだろう。
演出部は、その五感ともう一つのそれで、人間創造に挑む。

生々しい人間。

人間を創ることは。