3冊・『貧困と愛国』『近代日本の右翼思想』』『頭のうちどころが悪かった熊の話』

2008年4月18日 21:39:10

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脚本を書いている間、いつもとは違った感覚を持ち続けている、と、あらためて感じることがある。

本を読むと、何故か自然に画面の中に絵を作っている。
それは、どんなジャンルの本でも、そう。

歯磨きが異常に長くなっている。
大体、寝っ転がって左手で本を持ち読み、歯を磨くのだけれども、
30分近くもごしごしとやっていたりする。

煙草に火をつけると、根元まで吸っていたりする。

目の前の時計の秒針が動いていれば、
その動きを見続けていたりする。

そんなことが日常に起こる。
無意識なのだけれども、そんな自分に気がつくと、

(そういえば、脚本を書いてる時に・・・)と、思う。

『貧困と愛国』雨宮処凛×佐高信

この本は、こないだの芝居の第二部で司会をやってくれた
高橋あづささんに教えられて、読んだ。
タイトル通りの論点を多様な具体象からアプローチしている。
そして、昨年9月の『天皇ごっこ』に触れられている。
嬉しい、単純に嬉しいと思った。

たくさんの著書で問題を現象化される二人の
冷静だけれどもはっきりとした立場の対談集。

ほうほう、と思いつつ、読了。

そうだ!映画を見よう、と、思うことが多くなる。
それは、やっぱり脚本を書いている時だ。
監督の表情がはっきりとわかる映画を見たいと思う。
思いつく映画がないときには、ドキュメントフィルムを見る。

『近代日本の右翼思想』片山杜秀

書店で、つい手にとった本。
鈴木邦男さんが、
『日本思想大系』を読めば、現代の本なんか読む必要はない。

と言われ、それ以来、この手の本を読んでいなかったのだけれども、

鈴木さんの言われた通りでした。
江戸末期の思想潮流から、明治でのナショナリズムの開花。
大正期を経て・・・と、
論旨は進みます。
完全な入門書です。だから分かりやすいです。
大正期の思想に関して、一定のページを割いていることと、
最終的な論点が肉体と精神という、
なんだか落ち着かない落ち着き方をしている点が特筆。
まあ、破綻しているといえばそうなのかもしれないし、
それが、論点だ、と言われればそうかもしれない。
ほんとに入門書。

あちこちに線を引きながら、これは、どっかのトークで使える、
と思いつつ。

そういえば、音が気になる。
20年も音響・音楽に携わってきて、
その職業柄、小さな音に異常に敏感な自分が形成されたことは自覚している。
たくさんの生活ノイズ・街のノイズ・人のノイズの中から、
必要な音を取り出す能力、
混ざり合った音をいくつもの個個の音に分ける能力、
一つ一つの音がどんな波形から作られているか分析する能力、

そんなものは、多分、それを職業にしてこなかった人に比べ、高いだろう。

けれども、脚本を書いているときに気になる音というのは、
それじゃない。

言葉にすれば、脳の中での静寂の音。
表記すれば、(うー)だろうか。

静寂のうるささに耳をふさぐ。

『頭のうちどころの悪かった熊の話』安東みきえ

大人のための童話、みたいな書き方・・・
(ああ・・・、世の中は、こんなタッチにだまされるだろう)

と、思った。
あの『ソフィーの世界』のように。

作者がどんな思いでこれを書いたのか、
それを思うことはやぶさかではない。
純粋な創作欲からできた作品に思えないところが・・・なんとも。
いやらしさがにじんでいる。
人間をなめている。
人間は、あなたが思うほど不純ではない。
人間を不純だとあなたが思うのは、あなたが不純だからだ。

そんなのが、出ちゃうんだよね・・・あいにくと・・・

でも、きっとこの本の評判はいいだろう。
売れてるのではないか。
多分、売れてるだろう。
ロングセラーにでもなるだろう。

軽い頭痛、嫌な予兆か?

いい本を読もう。

そして、脚本を書こう。